ちょっと今更感はあるけれど、漏れとライブドアについて語ってみる


とは言っても「ヒルズ族*1でもなく六本木ヒルズには物見遊山で逝ったことくらいしかないので自ずと接点は限られてくるけれど、一応現在進行形でライブドアのサービスを使用してるんで、もしもの時(そのサービスが終了した時)のために言及しておきたいと思う。関係はないかも知れないけど。

(旧)ライブドアとの接近遭遇

漏れがライブドアという名前を知ったのはかなり前のことだけど、ホリエモン以後のライブドアに触れたのはわりと最近だ。
ホリエモンの物になる前のライブドアは一時期「無料ISP」として(多分ちょっとだけ)有名になったプロバイダだった(Wikipedia の解説)。ものすごくうろ覚えではあるものの、(旧)ライブドアが無料プロバイダとして登場した頃はまだまだISPの料金もバカにならなくて、それなりの話題性を持って登場したという記憶がある。そのうちADSLやら定額化やらでインターネットに関わる料金も格段に安くなって、(旧)ライブドアはなんとなく忘れ去られた存在になっていった。漏れも(旧)ライブドアのwebサイトは1〜2回覗いてみただけで、(当時)北海道にアクセスポイントがなかったことを知って早々に興味を失った覚えがある。

ライブドアとの第二次接近遭遇

そんなこんなで記憶の片隅に追いやられたライブドアという言葉が浮上したのは…何年前のことかは忘れてしまったがWikipediaによると2002〜4年のことらしい。オン・ザ・エッヂだったかエッヂだったかという会社がいきなり?(旧)ライブドアの運営を引き継ぎ、さらに社名とロゴまでライブドアのものを使い始めて今に至るというわけだけど、漏れはそれを「おいおい懐かしいなぁ」と思いつつ遠くから眺めてるだけだった。

で、ようやく堀江ライブドアとの接触。当時自分が持ってたレンタル鯖にMTを入れた影響で自分がやってたネコサイトもblogでやろうと思って手を出したのが何故か自分とこのMTでなくlivedoor Blogだったのだ。ライブドアのIDを取得したのがblogを解説するためだったこと、そのblogを覗いてみると2004年2月4日に初めての記事が投稿されてたことから、堀江ライブドアと接近遭遇というか接触を果たしたのはその日ということになる。ただ何故livedoor Blogを始めたのかは始めた当の本人にもよく分からない。その後ネコサイトは自分の鯖のMTに移転した(というかライブドアでは一週間くらいしか続かなかった)事実から、恐らく当時はまだ数が少なかったブログの無料ホスティングサービスを使ってみたかったからだと思われる。

ふたつのライブドア

livedoor Blogが長続きせずに離れたあたりからだろうか。「なんかIT業界では結構有名らしい」という印象しかなかったライブドアが目立ち始めた。どの当たりで「目立ち始めたなぁー」と思ったのかは例によってあんまりはっきり記憶してなかったんだけど、やっぱり近鉄買収騒動だとかプロ野球参入だとかで世間の注目をあびる優…じゃなかった浴びるようになるあたりかその前くらいじゃないだろうか。Wikipediaの記事によると社名をライブドアに変えたあたりから本業(IT分野)とは毛色の違うところに手を出し始めてる感じ。IT関係についてはそれより前にもいろいろ動きがあったみたいだ。

野球絡みで(朝生のテーマになるくらいに)物議を醸した結果、近鉄も買えなかったしプロ野球にも参入できなかったけれど、その後は親の仇のようにIT企業やそれ以外の企業を取り込んで「一体何がしたいんだろう」と思うほどに成長というか膨張を続けたライブドア。ついには包装業界にまで手を出してまた渦中の企業・渦中の人となったライブドアホリエモンだけれど、漏れとしては妙に醒めた目で見てたような気がする。
それまで一週間で放置したブログくらいしかサービスを使ってなかったというのもあるし、ひとりバブル祭りを開いてるようで「そんなんで大丈夫なのかねぇ」と思ってたからというのもある。一言で言うならば、「企業買収とかで盛り上がってるライブドア」と「ポータル運営企業としてのライブドア」というふたつのライブドアが一致せず分裂したまんまだったからだと思う。livedoor Wikiを使い始めてからもそういう思いは残ったままだった。

メインなはずのポータルが泣き所?

確かに野球騒動や放送騒動やらでライブドアは非常に注目を集める企業になった。いろんな企業を買収したり取り込んだりして膨れあがってはいた。でも本業と思われるポータルサイトとしてのライブドアは…人それぞれではあるだろうけど、自分としてはポータルとしてトータルに見た場合のライブドアにはそれほど魅力を感じてこなかったし、今でも感じてない。個々のサービスや目の付け所に魅力を感じることはあって、特に大手ポータルでは初めてWikiホスティングサービスを始めたところは面白いと思った(そして実際に使ってる)。だがしかし、ライブドアがポータルであるということを意識する場面自体が今でも少ない。
なんでそう感じるのかについては自分の中でもあんまりまとまってないけれど、もしかしたら「ポータル全体を横断するシステムがない」からじゃないかという予感がする。ライブドアの場合、はてなにおけるキーワードやgooやgoogleにおける検索技術といった「サービスごとの橋渡しをするもの」が明確でないように思うのだ。確かに共通のライブドアIDというものがあるしBlogとWikiの連携ができたりというのもあるけれど、Wikiを使ってる限りでは他のサービスとの連携という点がちょっと弱い感じがしないでもない。

想定内の憂鬱な展開

そんなわけで、ネットから見ても現実から見てもちょっと真意を量りかねる膨張を続けてきたライブドアも、唐突にぱちんと弾け飛んでしまった。いや、実際はまだまだポータルも営業中だし会社が無くなってしまったわけではないのだけれど、これが一つのピリオドであり今多に予断を許さない状況であることは間違いない。
マスコミはよってたかってライブドアとその象徴(?)だったホリエモンをほぼ横並びで叩きまくっているようだ。ネットでは「今までもてはやしてきたマスコミがてのひらを返したように叩きに回ってるのが気持ち悪すぎる」という意見もちらほら見られる。ただ、個人的には「てのひらを返したように」というより「それみたことかと、鬼の首を獲ったかのように」に近いように思う。感情としては「輸入再開した米国産牛肉に入っちゃいけない部位が入ってたニュース」に対して抱くものに似たようなものなんじゃないだろうか。

そもそも、「今までのマスメディアにおけるホリエモンライブドアのもてはやされよう」というのは、「昨今のマスメディアにおけるヲタのもてはやされよう」と同じだったんじゃなかろうかと思うことがある。実はというかもてはやされてるのではなく、単におもちゃにされてただけだったんじゃないかとすら思う。電車男アキバ系だのと持ち上げるように見せかけて、裏では「どうせこんな奴らなんて重篤ペドフィリアか狂ったフェチシストか社会的に不適格な引きこもりか何かなんだろうからそのうちろくでもないことをしでかすに違いない」とかなんとか考え、そして(彼らの目からは)ヲタっぽく見える理解不可能な人間が犯罪を犯すたびに「こいつの部屋からは○○が見つかった、こんな物を有り難がる奴らはけしからん」(○○にはアニメ、漫画、ゲーム、雑誌、書籍、立体物が入る)とか口走るのと同じレベルでホリエモンライブドアは言及されてた…と考えるのはちょっと浅はかだが、多分そういう一面はあったろう。ワッショイワッショイと祭り上げてるように見せてはいるが、胴上げしてる最中に屁でもこいてみればいつだってその手を離せるぞ…という状態だったのかもしれない。

漏れは別にホリエモンを擁護するつもりはないし、かといってここぞとばかりに「給食費を盗んだ疑いをかけられた子をつるし上げる学級会」もどきのショウに参加するつもりもない。でも、漏れ含むわりと多くの人がこんな展開を想定してたんじゃないだろうか。そして想定の範囲内で事件は起こって、マスメディアも想定の範囲内で彼を叩いている。ただ彼の逮捕もマスメディアのリアクションもあまりにも想定の範囲内すぎ、デジャヴのようなものを感じて憂鬱になってしまった。ホリエモン現象の悲劇性は、「想定の範囲外」だった存在が「想定の範囲内」の(=ベタな)オチで墜落してしまったところなのかもしれない。

程よくまとまらなくなってきたところで

とりあえず今日のところはこのくらいにしておく。はじめは傍観者として一連のホリエモン現象について語ろうと思ってたのに、気がついたらえらく観念的な話になってた罠。漏れが長々と何か書くと必ずこのパターンになるなぁ。とりあえず一度は自分が書いたモノを寝かしてから読み返すという作業をやった方がいいと思うよ>自分

ちなみにライブドアによる買収の軌跡は企業・合併・買収 | futuremixを見るとよく分かるかも。あとライブドアがなぜ(あんまり本業に関係なさげな会社まで)買収を繰り返してたかという疑問は、ホリエモン以上に詐欺的なベンチャーの内情 - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだを見て氷解。

*1:この言葉が出てくるたびに、何故六本木ヒルズに集まるベンチャーやその社員をヒルズ「族」なんて80年代〜90年代初頭的な今更感漂う呼称で呼んでるんだろうという疑問が沸いてくる。「族」の使用例なんてヒルズ族の前か同時期に「フィギュア萌え族」なんてのがあったくらいなのに。マスメディアがベンチャー連中をバブル期の企業と重ね合わせてるからなんだろうか。