何故自分はiPhoneに惹かれないか〜あるいは私は如何にしてありきたりだと嫌悪するのをやめて携帯嫌いになったか〜

にしても「あるいは私は」*1で始まるサブタイトルを付けるのはなんどめだダージドソン。


それはともかく、最近アップルがiPhoneを発表したり案の定シスコから横槍を入れられたりしたりしてますが、なんかあんまり惹かれない感じ。以前から噂だったこととか名前があまりにもまんますぎることとか携帯電話といっても海外の端末であることとかを差し引いてもあまりワクワクしない。前の新しいiPodの発表は心待ちにしてたりしたりするくせに何でだろう。

その事について考えてみて気付いたんだけれども、自分はいつの間にか携帯電話嫌いになっていたようだ。
実は自分は携帯電話嫌いであることを(したり顔で)語る人とその行為が大嫌いだった。というか今でも多分そうだ。最新でありかつ普及しているものに対してアンチであることをアイデンティティにすることは幼稚だと思う。もちろん携帯を持ってないことやその人そのものは何ら悪いことではないけれども、それを強調したがる人を見ると、はっきり言うと中二病の臭いがしてたまらない*2
ただ、携帯でなんらかの個性を付けようとしたり、携帯でなんでもかんでも済ませようとするのもなんかアレだと思えるようになってしまった。
確かに自分も携帯を持つ以前、携帯にそこはかとなくあこがれていた頃には「やたら多機能な携帯があったらいいなぁ」とか「人とは変わった携帯が欲しい」と思っていて、案の定初めて買った携帯がSO502iWM*3だったりその後に機種変した携帯がSO505iSだったりして、わりと「アクの強そうな」端末を選んでたりした。
が…それらの端末が最先端だった頃と比べると今の携帯はずっとできることが多いはずなのに、なんだか全く惹かれない。というよりはできることが多くなって逝くにつれて逆に引いてしまう。ようつべでハヒルが注目を集めるごとにどうでもいい感が加速していったのと同じような理由かもしれない。
かれこれ携帯を使い始めて5年以上は経つけれど、今まででわかったのは携帯というのが「便利かも知れない(し実際に便利だ)けれど意外に使いづらい」ということくらいだった。そりゃPCと比べると文字入力はやりづらいしそこが一番のネックだったりはする。でもそれ以上に、携帯的な料金体系やら操作体系やらwebまわりのシステムやら、あるいは「いつ何時誰の挑戦でも受ける誰からも掛かってくる可能性がある」(≒極力電源を入れたままにして回線を開けておかなくてはならない)ことがある種の「縛り」や「規定」、あるいは「規範」のように感じられることがある。携帯電話を使っている中でぶつかる壁が、○○までしか使えないという「制限」ではなく、「(本当は××までできるけど)○○までしか使えないことになってる、してる、orすべきである」という原則によるものであるように感じられることがたまにあったりする。
今の携帯みたいに財布代わりに使えたりクレジットカード代わりに使えたり、或いは何かのチケットやクーポンなどの役割ができるとなると、それは確かに便利だと思うけれど、携帯電話を持つ理由というのはそういうところでなしに、単に「人とコミュニケーションを取れる」ところではあるから、自分みたいに人付き合いが悪くてあまり携帯電話を使わない人間にとっては「持て余してしまうであろう機能」である以上に「余計なお世話」に思えてしまう。それらの機能はメインの機能ではなくサブの機能のハズなのに、メインの機能が不要な時とか使いたくない場合に、サブの機能を使うために持ち歩かざるを得ないという事態も有り得ると言えば有り得る。まだサブの機能はサブなりっぽいからそういうシチュエーションというのはないと思うし考えすぎというか強迫的に過ぎる話ではあるけれど、今の状況が進むとそういうことにならないこともなさそうな雰囲気がする。

と、こういうことを書くと自分も中二病っぽい感じがバリバリするけれど、否定はしない。というかできないだろう。別に携帯に対してアンチではなくてむしろ必要なものだとは思うんだけれども、今の携帯電話が半ば「コミュニケーションをとりたがる人々」のためのもののように捉えられていて、あまり「コミュニケーションが少ない人」のことをそんなに考えてないところが気になったりするのだ。いや携帯電話の役割やビジネスモデル(?)を考えるとそんなのは当たり前すぎることではあるのだけれど、もうちょっと軸を変えてみるとiPhoneより違う意味で面白いモノが出来るような気がしないでもない。例えば「都合を考えずに着信してくるとこがイヤ」な人用に、絶対にリアルタイムで着信を教えず、メールみたいにサーバとかに問い合わせることでのみ着信を確認出来るシステムとか。

携帯電話へ日常的に使う機能を集約させるという流れは、(日本国内的には)恐らくiPhoneの登場あたりでピークに達したんじゃないかと思うんだけど、これ以上携帯電話にくっつける機能ってあるんだろうか。あったとしてもこれ以上やると飽きられたり引かれたりしそうな気もする。

*1:博士の異常な愛情」参照

*2:ついでに言うとauからinfobarが発売された時に「ストレート形の端末がいかに折りたたみ形の端末よりもカッチョエエ(or優れている)か」を云々してる人々を見ているともれなく全員に金だらいを落としたくなったほどだった

*3:出たのは2000年近辺だったと思うけど、当時としては珍しい「携帯電話にメモリーオーディオ機能を付けた」端末だった。フルサイズのメモリースティックが入ってOpenMG Jukeboxから転送したATRAC3を再生できる端末だったけど、今の端末みたいにカメラやらアプリケーションには全くもって対応しておらず、特に端末内部のデータをMSにバックアップ出来たりということもなかったため、本当に単に「音楽再生機能が寄生した携帯電話」だった。