頼まれてもいないのに勝手に地デジについて考えてみる

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050930/soumu.htm
なんかこの「2011年放送終了」シールから「CCCDシール」とか「NO RESALEマーク」と同様の嫌らしさを感じるは漏れだけですか。もちろん全然ベクトルの違う話題ではあるけれど、「使う側のことをあんまり考えてなさそう」な感じがするせいなんだろうか。

あと約6年で地アナから地デジに移行するわけだけど、なんで今移行するのか、移行する必要性はあるのかについてはいまいちよく分からない。とりあえず総務省の地デジサイト地デジ推進委員会のサイトをのぞいてみてもそれほど明確な理由があるようには思えない。

総務省のサイトのhttp://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/about01.htmlというページにしても、「何故今デジタルなの?」という見出しに続いて、

映像や音声を0と1のデジタル信号に置き変えて送信することがデジタル方式です。従来のアナログ方式と比べて、全国どこの地域でもより高品質な(ゴーストや雑音のない)映像と音声を受信することができます。

と答えになってなさげな文章が続いてる感じ。あとの文章はデータ放送に見られるような他のメディアとの連携やら高品質放送やらのことについて。ゴーストがないというのは確かに魅力ではあるものの、今のテレビ以上のきれいな映像とかデータ放送の必要性というのは感じられない。なんかはぐらかされてるような気がしないでもない。

総務省のサイトでも地デジ推進協会でもちょっと分かりにくいところでもう少し詳しい説明がされてる(総務推進協会)けれど、やっぱりあんまり納得できない。両方とも大体同じ文章なので総務省のから丸々引っ張ってくると…

地上テレビ放送のデジタル化は、
 (1)高画質・高品質な映像・音声サービス
 (2)データ放送
 (3)高度な双方向サービス
 (4)高齢者・障害者に優しいサービスの高度化
 (5)安定した移動体向けサービス
など、現在の地上アナログテレビ放送ではできない多様なサービスを実現することができ、多くのメリットを有しています。

衛星放送や有線テレビジョン放送(CATV・ケーブルテレビ)でもデジタル化が進んでいますが、やはり、受信者(視聴者)の皆さんにとって最も身近なメディアである地上テレビ放送がデジタル化されなくては、このようなメリットを十分に生かすことができません。
イギリスやアメリカ等の諸外国でも、地上デジタルテレビ放送が開始されており、放送メディアをデジタル化することは世界の潮流となっています。
地上デジタルテレビ放送への完全移行後には、それまで地上アナログテレビ放送に使っていた周波数(チャンネル)を、周波数が不足しているテレビ以外の放送や消防、救急及び地域の防災等の公共業務用の無線局、携帯電話等の無線局に割り当てるといった周波数の有効利用が可能になります。

という感じ。
まず冒頭のメリットの列挙について個人的に突っ込んでみると、

  • 高画質・高品質な映像・音声サービス…地デジの全てが高品位放送になるというわけではないんだろうけど、そういうのはわざわざ地上波でやらなくてもBSとかでやればいいような気もする
  • データ放送…インターネットで十分。普段インターネットを使わない人のための「敷居を下げたインターネット」という考え方もあるけれど、かつて行われたり現在進行形の「インターネットより敷居の低いデータ提供サービス」というのはiモード以外成功してるような印象がない。地デジのメインと思われる据え置き型で考えるともっとなさそうな。既に行われてるBSデジタルのデータ放送ってどうなんだろう?
  • 高度な双方向サービス…上に同じ
  • 高齢者・障害者に優しいサービスの高度化…つまりデコーダとかなしでも字幕放送とかができたりその他の特殊なサービス(音声を聞き取りやすくするとか?)が実現できるという利点はアリかも
  • 安定した移動体向けサービス…これもあったら便利ろうけど特に早急に必要とするものでもないかと

…なんか高齢者・障碍者向けのサービス以外は「あったら便利だけど必要性は薄い」ような印象。
その後の「デジタル化が〜を十分に生かすことができません」の部分は、そもそも(それを地上波でやるという)メリットが微妙なのでなんだかなぁ。最も身近なメディアである地上波にこそデジタルの恩恵をということなんだろうけど、それを望んでる人ってのはどのくらいいるんだろうか。それに「地デジは世界の潮流だ」というのも理由としては弱い。というかこういう風に書かれると何となく押しつけられてるというか強迫されてるような気になってしまう*1
最後の地デジ移行で空いた周波数帯を活用、というのがナニゲに一番説得力がある話のように思える。電波のことには詳しくないんで分からないけれど、それって緊急性のあることなんだろうか。

というわけで今デジタル化する必要というのが漏れ個人としては全く感じられないということに。緊急性のあるものでないとすれば背後に何かグランドデザインのようなものがあるといいけどそういうものもありそうに見えない。
漏れも昔は高級コンポとかハイビジョンテレビにあこがれた時期があったし、BSデジタルの画質のきれいさには驚かされることもある。多分あのころの自分を連れてきたら地デジには萌えまくると思う。でもあと数年でアナログからデジタルに買えなきゃ逝けないというのはホネだしコトだと思う。しかも現状あんまりテレビを見てないだけに余計そう感じてしまう。

以上、極めて自分勝手な視点から地デジの必要性について考えてみた。そういえば大学の授業で「技術の使われ方は技術それ自体の発展が決定するものじゃなく技術を使う側の社会や文化が決定するものだ」ということを習った覚えがある。地デジに絡んだ問題というのはまさにソレなんじゃないだろうか。

メモ:地上波デジタル化の一旦停止を - CNET Japan(地デジについて調べてて見つけた記事。あとで読んでみます)

*1:別に地デジ化にあたって諸外国からの圧力があるんじゃとかいう与太話にしたくはないけれど、見方によってはそういう風に見えてしまうのも事実